I don't know…No problem みんなで親しむ能(Noh)プロジェクト 質疑応答

更新日 2017年11月02日

I don't know…No problem!みんなで親しむ能プロジェクト 質疑応答

平成29年8月20日(日曜日)に開催された「I don't know…No problem!みんなで親しむ能プロジェクト 」の当日参加者の方々よりいただいたご質問に、公益社団法人宝生会の能楽師の方からご回答をいただきました。

 能楽師について

質問:本番までに通し稽古は何回行うのですか?

答え

通常の能の舞台では「申合せ」と呼ばれるリハーサルを一度だけ行います。演劇や他の舞台で何度もリハーサル、ゲネプロを行うとのは違っているのが特徴です。番組が届いた時点でお相手する流儀を確認するだけで、自分がどう演じれば良いかが決まるため、一度の合わせで本番を迎えることが出来ます。

 

質問:女性の能楽師はどれくらいいらっしゃるのですか?地謡や奏者でもいらっしゃいますか?

答え

宝生流の女流能楽師は全国で20名ほどと多くなっております。宝生会では女流能楽師のみの地謡で演じる回を年2回開催しており、毎回好評を頂いております。

 

質問:お芝居中に起きたハプニング等はありますか?

答え 

よく聞かれるのが能面をつけて視界が狭いので、舞台から落ちないか?ということです。最近はあまり聴きませんが昔は10年に1回くらいはあったそうです。その場合でも自力で階段を上って何もなかったように演じたようです。舞台上で長く座ることが多い職業ですので、長年にわたる稽古で足も体も鍛えられています。急に立ち方の具合が悪くなったとか、謡を忘れて止まってしまったなどの有事のために、後見と呼ばれる人が2名、舞台上の左後方に待機しています。万一の場合のほか、舞台の進行に必要な補助をするため、じっと座っています。

装束・能面について

質問:衣装はどのくらいの重さですか?

答え 

衣装は種類によって重さがまちまちですが、何枚も重ねて着るのが常なので、合わせると10キロ以上になることが多いです。平安時代には十二単と言われるなど位の高い人ほどたくさんの着物を着ていました。重ねて着るのでとても暑く、中に着ている襦袢などはすぐ汗で濡れてしまうほどですが、装束はクリーニングが効かないため、使い終わった後は干して乾かすだけです。

 

質問:どうして足袋は左から履くのですか?

答え

足袋を左足から履くのは昔から伝わってきた作法で、ご飯が左、味噌汁が右というように、「別にどっちでもいいじゃん」と思うことでも、決まり事を作ってきました。日本では古来から左大臣の方が右大臣より偉いなど、左方優先の考え方がありました。能を始めとする伝統芸能では、現代社会では見られなくなった作法が残されています。

 

質問:能面はどのように頭につけているのですか?

答え 

能面は2本の紐で顔に当てています。能面をつけた瞬間にその役柄になります。曲によって首を強く振るなど激しい動きをするものがありますが、その場合は後頭部の骨に食い込むくらい、キツく結んで途中で取れないようにします。

当日上演演目「土蜘」について 

質問:頼光は病気で寝ているという設定なのに、なぜ座っているのですか?

答え

「能」は少ない動きで表現する芸能で、病気で寝ている頼光も実際には寝ないで座っているだけで、肩から着物を掛けるだけで病床に居る事を表します。そんな中「土蜘」は能で唯一糸を投げるなど写実的な表現をする曲目で、他の能では味わえない魅力があります。

現代のいわゆる戦隊物ですとワキの一人武者がヒーローで、土蜘の精は悪役になりますが、能ではあえて悪役をシテ=主役にしています。これは「土蜘」は昔からその土地に住んでいた原住民のことで、新しく支配者になった大和朝廷に従わなかった者を化け物に見立てた、という説があり、能においては歴史の教科書では注目されない先住民に注目して物語を作ったためと言われています。 

能舞台について

解説:能舞台は昔屋外にあったので、必ず屋根がついています。全国に700近く能舞台がありますが、後ろの壁に松の絵が描かれていること、屋根があること、柱に囲まれた舞台の大きさはどこでも一緒です。舞台の周りの石は白、もしくは灰の明るい色で、昔電気が無かった時代に太陽光を反射させる事で舞台内に光を取り込んだことに由来します。石の代わりに水が張ってある場合もそれに準じます。材質は檜材で出来ており、これは水に強く変化しにくい丈夫な素材であることが大きな理由です。

囃子方について

質問:囃子方は、演奏していない時はどうして手を隠しているのですか?

答え

楽器の演奏をしない部分は立ち方(シテやワキ、ツレなど)の邪魔をしないように、袴の中に手を入れてじっと動かない、音を立てない、その場に存在しないかのようにするのが原則です。 

 

質問:楽譜はあるのですか?

答え

笛には「唱歌」という楽譜があります。この場面でこの唱歌を吹く、というのが決まっています。小鼓や大鼓には「手組」と呼ばれる楽譜があります。この謡のところでこの手を打つ、というのが決まっています。 

 

質問:大鼓を叩く時に、なぜ横で止めるのですか?太鼓、小鼓のテンポが重なったりズレたりしていたが、どういうリズムなのですか?

答え

囃子方はピアノや吹奏楽のような「演奏」ではなく「囃す(はやす)」もので、場面を盛り上げるためにゆっくりから段々早くしたりと工夫されています。囃子は音と音の間の「間」が重要で、大鼓は打つ前に横に手を伸ばして間を取っています。

能について

質問:流派で何が違うのですか?

答え

舞いや地謡を勤めるシテ方は五流儀ありますが、舞の型や謡い方に違いがあります。舞金剛と言われるなど金剛流の舞いはとても派手ですし、謡宝生と言われるなど宝生流の謡いは変化に満ちています。ワキ方や狂言方は流儀によって所作や解釈が変わったり、囃子方は演奏の楽譜(笛の唱歌や鼓の手組)が異なります。それぞれの組み合わせで一期一会の舞台が出来上がります。

 

質問:歩き方のコツはありますか?

答え

能の歩き方は「すり足」が基本で必ず片方の足が板に付いていて動かない、ことが基本です。板に付いている足に重心をもっていくことで上体を安定させます。その場で向きを変えるときも片方ずつ交互に足を動かすことで回転しています。

 

質問:始まりと終わりの拍手をするタイミングは?

答え

能舞台には緞帳がなく、何もない舞台に幕から囃子方が出てくるところから能が始まり、曲の最後には立方役が幕に引き、最後に地謡と囃子方が引いて、最後何もない舞台に戻ります。そこまでが能ですので、観客の中にはその余韻を楽しんでいらっしゃる方もおられます。上演中はなるべく静かに、音を出さないように気遣ってもらえると助かります。拍手は見ていて良かったと思う役が引くところで、頂ければと思います。 

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