令和元年度　第3回文京区障害者地域自立支援協議会
地域生活支援専門部会　要点記録

【日時】　令和元年12月6日（金）午後2時から午後3時48分まで
【場所】　文京シビックセンター5階　区民会議室C
【出席者】
安達 勇二 部会長、浦田 愛 副部会長、夏堀 龍暢 委員、中谷 伸夫 委員、樋口 勝 委員、
行成 裕一郎 委員、髙田 俊太郎 委員、市川 順子 委員、児玉 俊史 委員、
渋谷 尚希 委員、髙松 泉 委員、田邊 真知子 委員、
【欠席者】
清水 健譽 委員、小谷野 惠美 委員、岡村 健介 委員
【ゲストスピーカー】
田中氏(本富士生活あんしん拠点)
鈴木氏(文京区障害者基幹相談支援センター)
【事務局】
障害福祉課障害福祉係

１　開会
1　安達部会長の挨拶
2　前回の部会の振り返り
　　第2回では、本富士地区の地域課題事例を中谷委員、浦田副部会長より報告。
　　高齢者あんしん相談支援センターから見る部分としては、高齢者の中には精神疾患を持ちながら生活している方もいらっしゃるが、介護保険の判定が出にくい中で生きづらさを感じている方もいる。生活実態の把握が難しいマンションが増える中での地域の支援を進めていく困難さ。B～ぐるが走っていない不便な地域性から、ひきこもりの方が相当数いるのではないか。8050問題と若年性認知症など、多分野に関係する問題になった際、スムーズに役割分担ができずに困難化することがあるので、問題が顕在化する前に情報共有を行うことなどが、拠点に求められるのではないか。
　　地域福祉コーディネーターから見る部分としては、地域活動が盛んになりつつある。例えば、外国人の子の学習支援であるとか、子育て世代のこどもひろばのような活動をやっていこうという話が上がっている。また、障害に限定された話ではないが、外国のお子さんが増えてきて、日本語を話せないケースが多いということで、学校からの相談が来ている。
地域生活支援拠点に求めることとして、要配慮者の住宅確保について、高齢者の孤独死、障害者のトラブルといったリスクを拭い去らないとなかなか住宅の確保が進んでいかないので、拠点でも担えると良い。
　　拠点の実績についても議論を行った。相談実績の数値よりも、例えば8050問題について高
齢者あんしん相談センターと一緒にアウトリーチをしたことなどを事例として積み上げていくことが議論された。
　　本富士地区の地域生活支援拠点の名称について、部会では、障害と相談というワードを入れないことを決め、後日拠点のコアメンバーが集まり検討、本富士生活あんしん拠点という名称で自立支援協議会及び区役所内で承認を得た。
地域生活支援拠点の運営状況について、本富士生活あんしん拠点の田中氏より報告。　　
10月より開始し、アクティブに動いているケースは4、5件となっている。前から関わりがあり、今はサービスにつながっておらず、継続して支援をしているケース。その他、基幹相談支援センターと一緒に相談に入ったり、計画担当と同行するなどして関わっている。チラシが完成し、関係機関への挨拶回りを行う。1月にはご本人向けのチラシ等が完成する予定で各窓口等に配架されると、新規相談も増えていくことを見込んでいる。

２　議題　事例検討「様々な課題に対して地域生活支援拠点はどのような役割を担えるか」
1　短期保護事業者から見える課題　（市川委員より報告）
　　日中活動を終えた成人の方たちの夕方の居場所がなく、短期保護や移動支援を利用しているケースが増えている。放課後等デイサービスを使われてきた中で、フルタイムで働いている世帯が増えている。高等部を卒業したところで、それまで6時半まで預かりがあったのが、3、4時に帰るとなると、仕事の調整も必要になってくるところで、卒業と同時に生活介護に入る方たちとか、短期保護をずっと利用されている親御さんたちから、今後についてのご相談を多く受けている。
　短期保護の定員も制約があり、日中もご利用いただきながら相談している。特に土曜日は、朝から1日短期保護をお願いしたいという方も増えている。18歳以降にサービスを受ける場所がなくなるという課題。

各委員からの質問や主な意見等
・放課後等デイサービスの方を使っているのは、お一人では難しい方が多いのか。
→利用されているのは、強度行動障害や自閉が強い方など、一人では難しい方たちが多い。親御さんが同居されていて、親としての機能は果たせるけれども、働いているので、放課後のサービスが必要。特に土曜日のニーズが高い。
・18歳になると行くところがなくなるということだが、解決する年齢などはあるのか。
→グループホームで入所施設に入られればその心配はなくなるが、それ以外にはない。
・介護保険のデイサービスだと、空いている時間はそれぞれ事業所によって異なるが、15時から16時ぐらいに終わるというのは、何かしらの決まりがあったりするのか。
→各通所施設によって変わってくる。
・若い世代のお仕事をされている方たちの中では、ニーズが高い。お断りをすると受け入れてもらえないことも多い。様々な障害をお持ちの方がおり、強度行動障害と医療的ケアがあって、自閉の強い方が一緒にご利用されることもある。その方たちを8時、9時など長時間受け入れていることはあり、その後にお送りしたりなど。同じ障害者として見ていくというのは限界があり、人材と場所とお金がかかってしまう事業。
・拠点の機能としては緊急宿泊の場所というのが求められていて、例えば今はおうちに帰られている方が、ご家族が倒れるとやっぱり一人で過ごせない際に、緊急宿泊の場として、短期保護だったり、リアンの短期入所が文京区の中ではイメージできるが、緊急時に対応した例や今後対応していくためのご意見などを伺いたい。
→常に宿泊の利用者がいるわけではないので、宿泊依頼が入って、職員の手配をするという形をとっている。過去には、今日お母さんが倒れたので、今からということもお受けしたことはある。常勤職員がすぐ入って、宿泊して対応という形にはなるが、今日の今日というのは、ほとんどない。
→短期入所があるので、緊急で受け入れることはあり得る。ご本人の体調が悪いケース、家族の入院、虐待問題で受ける方もいらっしゃる。ただ、必ずしも空いているかというと、難しい場合もある。緊急の対応が必ずしもできるわけではないことも事実だが、先ほどの日中短期保護も含めて、1か所あってもいいのではないか。実際は使われないとしても、無駄だと言われたとしても現実的にそういうケースは多くある。
・緊急時の受け入れをするための部屋と体験する場の部屋というのは、基本的に住環境としては分けたほうがいい。緊急時のお部屋は防音施設などスタッフの支援がしやすい住環境が必要。ただ、体験の場は、入所施設とは違った住環境が必要と思った。あと、短期保護事業と短期入所の場合、1対利用者何人で支援をされているのか。短期保護や短期入所を何回も受け入れている方であれば、支援のやり方やリスクの想定もできると思うが、どういった段取りを組んで初回の利用につながっているのか。
→短期入所の定員10人の範囲内では受ける。ただ、夜間帯に関して、職員1名で夜勤をするので、遅番を入れても2名になる。緊急で一応は受けられる体制を整えているが、満床が多い。緊急のケースが来られていて、受け皿がなく受けることもある。人員は、基本的には指定基準の中では受けている。それで受け切れない方に関しては、プラスアルファで職員を残していることもある。初回の方に関しては、1泊でお試しし、長期入院をされるのであれば、知的の方は2泊、身体の方は1泊からスタートしている。急に希望の日というのは難しく、組み合わせを工夫して、ケアの体制を整えている。
→2ＤＫぐらいのところで最大5名という定員の事業所なので、基本マンツーマンで対応。宿泊に関しても、外部委託によるヘルパー事業所にも依頼。男性の常勤と女性のヘルパーを入れて、女性の利用者さんを受け入れることもある。
・生活介護の時間延長は、国のサービス費で、時間延長の加算がつくものの、加算の単位としてはそんなに大きくはないので、事業者として踏み切ることへのハードルがある。緊急時の受け入れと、体験の場の確保は、拠点の役割の五つの機能に入っており、文京区の弱いところなので、使わなかったとしても部屋を押さえておくなど、そういったことを考えていく必要があるかもしれない。

2　相談支援事業者から見える課題　（ゲストスピーカー鈴木氏より報告）
・8050問題、老少介護というテーマが主になってくる統合失調症のケース。包括経由で支援に入った。お母さんとご本人、二人暮らしだったが、本人の病状が悪くなったのと同時にお母さんが認知症になって、在宅での生活がままならないというご家庭。ご本人は、入院をしたんですけれども、その間にお母さんが緊急のショートステイを使いながら、特養の入所に至った。
　　とりあえず初めの8050問題というのは、最初の1年ぐらいで何とかクリアはしていたが、
自宅がごみ屋敷で、他にも金銭管理の面で生活課題がある方。
今まで福祉サービスにつながらない人だったので、支え手を増やしていきたいというところで、まずヘルパーを入れることを目標にして支援体制を組んでいた。過去の経緯からつながりのある計画相談事業所に日常的な相談をしていけるようにつなごうとしたものの、うまくいかず基幹と本人だけの支援体制になった。月に1回の面談を継続して、障害福祉サービスを使うところまで了承してもらった。就労に関してもモチベーションが高かったが、就労支援センターとの関係が構築できないなど、就労意欲が高いが、まず障害者雇用ではなく、一般雇用で働きたいご希望があり、一般雇用はするものの、辞めてしまうことを何回も繰り返していた。寄り添いながらB型の契約まで至ったが、1か月を経過することなく辞めている。ごみ屋敷に対して業者を入れて、支援が入らないとごみ屋敷になる可能性があり、ヘルパーを入れるために計画相談を再開している段階。8050問題、老少介護というところから始まって、地域につながり、障害特性や生活課題が見えてきて、そこにアプローチ中。徐々に拠点への移行を対応中。

各委員からの質問や主な意見等
・教育センターと連携するケースでも、障害受容がうまくできない状況で学齢期が終わってしまうことが増えている印象がある。きっと早い段階で障害受容とか、世帯把握とかがいろいろできていると、あの家庭が何十年後に今回のケースになることが予見される。
・今の既存の働く場というところが入っても続かなく、Ｂ型は嫌だということであれば、多分間のところがあったらいい。
→生活の経験を積んでいない方なので、どこまでが障害で、どこまでが経験不足なのかというのが、見えづらい。だからこそグループホームが一番いいんじゃないかと、ずっと提案はしている。
・高齢者のほうからすると、親と出会ったときに問題が分かる。より早い時点で拠点に関わってもらって、その時点の子どもを把握してもらうというのは、空白の時間を短くすることに繋がる。ごみ屋敷という問題の前から親に多分相当な偏りがあったと思うので、例えば民生委員さんが拠点のほうに連絡しておくとかという把握の仕方もあったりするかなと思うので、そのタイミングが少し早くなって、見守ってもらうという役割を拠点が持てると良い。
・今回の事例検討会の目的で、拠点としてどう役割を果たせるかについては、基幹のように区内に1か所で中核的にやっているというところよりも、より地域に密着した形で、こういった方に向き合っていけるといい。本富士地域の中でその方と、声をかけ合える関係性になれるというのは、地域じゃないとつくれない。
　・将来のリスクというところで、お金がなくなったときというのが拠点が絡む次の機会になる。困ったときに相談に乗ってくれる場所が基幹相談支援センター以外にも近くにいるんだと思ってもらえることが、拠点としてこの人に関わって、困ったタイミングに寄り添っていけるのではないか。
　　　困ったと思うのは周囲の関係者で、ご本人は困ったと思わないのが現実かなと思うと、ご本人自身が困ったと感じたときが、一番支援の介入しやすいタイミングだと思うので、そこをいかに逃さないような編み目を張っておけることが重要。それができないことが一番のリスクという気がするので、そこは今後、4圏域に整備されていく中で、その地域の中で、役割を担っていけるかが、事例を通し重要なことと感じる。
・拠点と絡めると、グループホームというのは、本人にとって、選択するのにハードルが高いので、体験の場など1泊2日でもいいから使ってみたらというところでやっていく方法ももしかしたら有効な人なのかもしれない。
・見守りをする機関というのが長期的に関わるんじゃないかと思うが、見守りをするといっても、役割分担をしないと結構落としがちで、専門職がずっと定期的に見守りをするマンパワーも多分難しいと考えると、例えば定期的に見守り状態をつくって、あんまりアクティブに支援しない期間になったら、拠点のほうは専門的な見守りとして、例えば数か月に1回とかは見に行ってアセスメントをするとか、民生委員や地域福祉コーディネーターとの連携でできるんじゃないか。見守りには、緩やかな見守りと担当制と、専門性と三つの種類があることが、東京都の委員会とかでも言われているが、買い物に行く場所も必ずあるので、地域の見守りのネットワークと専門職の見守りのネットワークを、アクティブじゃないときにつくっていけるかが重要で、拠点と地域福祉コーディネーターと一緒につくっていってもいいのではないか。
→今の相談支援の不足な部分として、リカバリー型というか、寄り添い型の相談支援。リカバリーというのは時間がかかるし、長期間その方とつき合う必要がある、そういった相談支援が圧倒的に少ないなと考えている。
・高齢のケースで、ソーシャルサポートネットワークづくりは出てきているので、障害分野も拠点と連携してトライしていきたい。

　3　保健師から見える課題(髙松委員から報告)
　　重複の障害のある方で、視覚障害と統合失調症があるケース。現在は、お母様とお兄様と三人暮らし。20代前半には就労のご経験もある。
　　デイケアにも通所しているが、時々通所がなかなか来れないときがあった。後日分かったが、お母様の認知症が始まり、認知症が進行する中で、ご本人も家族問題で悩まれて、お母様と留守を守ることをしており、デイケアに来れなくなってしまった。ご本人は診療機関に通っていて、60歳になられるが、いつまでもデイケアに通うことはできないだろうなと見立てており、拠点が近いので、ご家族が納得のいくような形でお母様のケアと、ご本人のケアと、障害福祉課(身体)が中心になって、サービス構築になると思うが、拠点の方たちをご紹介して、イベントみたいなものがあるときには遊びに行ける先として、認知していただけると、まちの方たちにもそういう方がいらっしゃることが知ってもらえる。ご本人はガイドヘルパーさんを使ってデイケアに通所中だが、彼の外の世界がデイケアだけなので、もう一つ拠点が加わると、ご本人にとってもいいんじゃないかなと、拠点で何か決まったプログラムがあると行けるといいと思っている。

各委員からの質問や主な意見等
・最初はお話を伺うことはできると思うので、そういうところから始められればいい。
・少なくとも人が入って、おうちが安全になっていけるようにしてほしいなと、お兄さんとご本人が時間をずらして24時間お母様と一緒にいる体制をつくって、デイケアに来れなくなってしまったので、お母様と一緒に行っていただいても足下はすごくしっかりされている方なので、お母様も含めて、一緒に寄り添っていただけるようなところがあるとありがたい。
・拠点にプログラムを設け過ぎると、アウトリーチができなくなるので、できれば拠点に1回来て話をして、まずは顔つなぎをする場で1回、そこから何か次の住民が主体的に行うというか、常設型の居場所に次のとしては、二人で一緒にお茶を飲みに来るステップとかができるといい。
・近所の方とお茶を飲めるといい。安全な場所というものを地域でお示しができるといいなというふうに思う。
・ご自身のほうの居宅支援も目標は、自活して家事等を自分でやりたい思いがある方なので、一つずつ、これから来られる調査をする人と相談をして、そのときにご自身が自立したいと思うところから、まず始めていきましょうということで、実習型でおうちで一緒にやっていくということをやれるといい。実はデイケアの調理もできる人なので、それを増やしていけるといいかなと思っている。
・生活の幅を少し広がるようなこともあったらいい。うまく間を、拠点のほうがつなげられればいい。
・拠点を知っていただいて、ご家族が拠点の方のお顔がわかって、そういう方が近くにいてくださるんだということで、わかっていただくとすごくいいなと思っている。
・高齢のほうだとヘルパーさんがガイドヘルプというか、送り先は介護保険事業所という決まりがあるが、障害の場合のヘルパーは、別に居場所とかでもいいか。
→視覚障害者のヘルパーであれば、例えば通年、長期の外出だったりとか、そういったものでなければ、あとは通院介助があるので、別のサービスがあったとおもうのですけど、特にそういったもの以外であれば、通常は制約はない。
・今、居場所に認知症の方とかが来るときに付き添いが課題になるという話は認知症ケアのほうで課題になっている。息子さんのほうにガイドヘルプがつけられるのであれば、それでお母さんもついて来てもらうというのは良い。
・ご家族で居場所に来てもらえるとありがたいなと思っている。
・最後の事例は、家族の問題もあるし、障害も複数であり、失われる居場所をもう一度取り戻すというか、拠点の求められるものと合致している。
　・三つの事例、拠点の役割であったりとか、機能であったりとか、一時保護の場所とか、いろんな課題が出ていたかと思うので、一つ一つ行政と一緒に実現できていけたらいい。
　
　その他事務局より
第4回目の内容について、現在、拠点のコアメンバーで話しているところでは、本富士地区の特徴をより広く、深く知るために地域から出てくる相談に対して、例えば町会の方であるとか、あとまちの方がどういった対応をしているのかというのを、話を聞ける機会が持てたらいいということを話し合っており、調整している。
　　開催時期は、令和2年の2月又は3月を予定。