平成28年度文京区障害者地域自立支援協議会  第1回就労支援専門部会 要点記録 [日時]平成28年7月21日(木) 午後2時〜午後4時 [場所]文京区民センター2−A会議室                     1.開会 出席者 志村健一(自立支援協議会副会長)瀬川聖美委員、清水眞由美委員、大形利裕委員、那須利久委員、上田みどり委員、松井裕委員、 伊藤史朗委員、滝田修広委員、金江ちあき委員、米田直子委員、小林美千代委員、中川正人委員、内山祐佳委員、有村秀一委員、 矢口和彦委員、堀溝信幸委員、猪岡君彦委員、松泉委員 計19名 欠席者 矢島明佳委員、中嶌和仁委員、竹本亘委員、水原嘉男委員、木内恵美委員 計5名 2.志村自立支援協議会副会長挨拶  福祉の話題では、専門職連携が話題になっている。就労というと一般企業に勤めるというイメージだと思うが、それだけではない。委員の中には一般就労が難しい方への仕事や作業の提供をされている方もいる。障害のある方が、作業を通して社会とかかわることを実感し、それを支える仲間がここにいると思う。1年間3回を通して活発な議論をしていきたい。   3.委員自己紹介  各委員より自己紹介 4.部会長の互選、副部会長の指名  部会長瀬川委員、副部会長大形委員に決定した。 5.議事  (1)下命事項の確認について   ●【資料:1】参照 ・本年度の下命事項は「就労を通じた社会参加を促進するため、職場体験、チャレンジ雇用等、多様で柔軟な仕組みを検討する。」 ・昨年度実施した施設利用者アンケートに「企業就労は考えていないが、実習を体験してみたい」「実習に興味がある」という回答があった。企業就労を目指す方はもとより、福祉的就労をされる方にとっても生活を豊かにする体験の場という位置づけになるという考え方で下命事項となっている。 (2)実習制度について ●【資料2】参照 文京区の実習制度について ・既存の実習制度について説明した。 ・【参考資料:1】【参考資料:2】参照。昨年度実施したアンケートの内容について説明。 ・知的障害のB型施設利用者の意見では、「企業で働きたくない」「企業実習も希望しない」という意見が多いが、「区役所実習は希望する」が多かった。就労経験のない方たちは「不明」の回答が多いが、体験したことがないため不明となっていると考えられる。精神障害のB型施設利用者の意見では、「区役所実習、企業実習ともに希望」が多い。実習期間としては、1週間あるいは1か月を希望している。 ●各委員実習についての意見を述べた ・区役所でのシュレッダーは作業所の工賃よりもお金になるので人気がある。インターンシップは良い経験となる。しごと財団の職場体験実習は面接で落ちることが多い。面接を通過して実習ができれば手厚く本人の対応をしてもらえた。企業で実習できる貴重な機会であるので雇用の予定なしの実習でもありがたい。 ・利用者の高齢化、重度化、あるいは通所者・保護者ともに企業就労を望んでいない等、企業就労よりも作業所で安定した生活を送って行きたいという考えが多いが、シュレッダー、インターンシップは大変良い経験となっている。 ・企業見学の機会があるとよい。 ・インターンシップは、時間数が短いのでトライしやすい。もう少し長い時間でも良いかと思う。いい経験と達成感を得ることができる。職員も事業所内では見ることができない利用者の姿を知ることができる。ただ、区役所では知人に会うかもしれないと言う理由で嫌がる人もいる。ネームプレートを下げることはどうなのかと思うこともある。 ・インターンシップについては、5日間連続で行うような期間が長いものだと、1日目の気づきを次の日に活かせるのではないか。見学も実習も、現実を知ることで、職種の幅も広がることもあり有意義だと感じている。チャレンジ雇用は3年間という点で、ゴールが見えやすく取り組みやすいと感じる方もいると思う。 ・ミスマッチを防ぎたい、本人・企業の不安を解消したいという考えから、職場実習を前提とする採否が一般的になりつつある。ただ、実習の実施が画一的にならないよう、本人状態を見極めて実施する必要があると考える。 ・特別支援学校では実習と進路指導は切り離せない。1年生から進路決定に向けて準備していく。特性・能力を知り、保護者と相談しながら3年生の実習につなげていく。学校生活や家庭生活で身につけてきたことが、社会生活の中でどれくらい活かせるかの評価でもある。自立生活を送る方法を知っていく、覚えていくというところが、実習の大きな要素でもある。働きたいという意欲がまだ芽生えてなくても、少しずつ進路選択を考えていく。 ・盲学校は実習先を確保することが学校としての課題。実習は得意分野を発見することができ、就労後の定着につながる。実習は定着という観点からも重要だと考えている。 ・実習は施設外に出て普段と異なる仕事をするという点で有効かと思う。振り返りの際に挨拶に関してなどの気づきがある。 ・実習に対する考え方は、1点目は企業の社会的責任の観点から、障害のある方が、自分自身を知るという位置づけ。二点目は、雇用する・されるといった観点から、障害のある方が企業を知る場、企業が業務に対する適性と人となりを見るための場としての位置づけと考えている。 ・雇用を前提としない実習として、特別支援学校の生徒を受け入れている。いつもと異なる企業の現場で、雇用についての理解を深め、仕事への動機づけという意味があるかと思う。 ・企業側からも実習は重要だと考えている。本人だけでなく、支援者側と企業の考え方の違いが大きいと感じる。この溝を埋めるために、就労移行支援事業所の職員や特別支援学校の先生に出向してもらっている。支援者は1週間でも中に入って一緒に仕事をすると、レベル感がわかってよいのではないか。支援者の立場の方々と意見交換会をして、企業が欲しがる人材について話し合いをしている。マッチングの面でも実習は拡大したいと考えている。就労意欲を高める実習があっていいと考えているが、雇用予約に抵触するリスクもあり拡大しにくい。 ・雇用を前提とした実習の場合、選考の一つとして極めて短期間なら問題ないが、一定以上の期間になると労働基準法に抵触し、助成金等の対象とならないケースがある。よって運用には注意が必要となる。 ・トライアル雇用はその後常用雇用となる非常に有効なツール。【当日配布:1】参照。短時間トライアル奨励金の対象者は、精神障害のある方と発達障害のある方のみ。 ●各委員の意見をうけ、志村副会長がマインドマップ作成【当日作成資料:1】参照 ・それぞれの機関が持っている課題意識の視覚化になった。マインドマップを見ると、実習に否定的な意見はなかった事、改善の余地のある部分や制度の壁があることが分かった。実習をどうとらえるか、企業、当事者、支援者にとってどう活かしていくのかということの手がかりになるのではないか。 ・ブランクのある40代以上の方を就労に向ける難しさ。若いころからの特性を見て支援していくことが必要であると感じた。自分の健康を守っていけるように地域の理解が進まなければならないと感じた。就労支援は医療にも結び付くものだと感じた。 ・雇用前提の実習だけではなくスモールステップとしての実習、間を埋める実習制度の開拓ができてきたらと考える。企業側の視点も交え文京区バージョンの実習制度を考えていきたい。区で行っている事業は1日とか2〜3日、業務サポート室は1年というところで、間を埋めるものが作れないかなと考えている。もう一つのテーマとして就労を通じた社会参加の促進もあると考えている。受け入れる側の障害のある方との接点となり、職員の啓発、障害者理解のためにも実習制度は役に立つと考える。 閉会