文京区福祉環境整備要綱等の改正(案)骨子について 1 目 的 (1)現状の課題 (ア)高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)(以下「法」という。)や東京都福祉のまちづくり条例(以下「都条例」という。)が整備され、それぞれの関係性は整理されたものの、文京区福祉環境整備要綱(以下「区要綱」という。)とそれらとの関係整理がされていないため、重複指導や混乱が生じています。 (イ)都条例、区要綱、建築に係る他の申請の窓口が2部にわかれているため、設計者の利便性に欠けています。 (2)方向性 文京区では、法により義務化された整備内容や、都条例によって誘導施策が整備されたものについて、区要綱で二重に指導を行う必要性は低く、重複を解消し、事務の効率化をはかるため、これまでの課題を整理します。これにより区要綱を改正し、高齢者、障害者、子ども、外国人、妊産婦、傷病者その他の年齢、個人の能力、生活状況等の異なる全ての人が、安心して快適に生活できるよう、共同住宅を対象として整備基準を整理し、住みやすいまちづくりを目指します。 2 改正する要綱等 (1)改正前 (ア)文京区福祉環境整備要綱(昭和59年12月21日59文福福発第604号) (イ)文京区福祉環境整備要綱実施要領(昭和59年12月21日59文福福発第604号) (2)改正後(案) (ア)文京区福祉のまちづくりに係る共同住宅整備要綱 3 主な改正点 (1)福祉のまちづくりの推進に関し、対象施設範囲や遵守基準を、都条例に一本化します。ただし、1,000u以上2,000u未満の共同住宅は、都条例の対象外となるため、都心部の特性や高齢社会の到来等を鑑み、共同住宅に特化した区要綱に改正し対応します。 (2)建築物のバリアフリーに関わる届出及び指導等(建築物バリアフリー条例、都条例、区要綱)の窓口を都市計画部にまとめます。ただし、心のバリアフリーに関する取組みは、従来どおり福祉部が中心となって行います。 (3)協議完了後は協力書という形で、最終的な図面を提出することになります。 (4)整備項目及び整備内容については別表のとおりです。 4 今後のスケジュール(予定)   平成28年3月 要綱改正、4月〜5月 内容の周知、6月1日 実施 別表 整備基準表 整備項目 1特定経路      (1)対象施設においては、道等から各住戸までの経路(寄宿舎の場合は、道等から住宅の共用部分までの経路をいう。)のうち1以上を、多数の者が円滑に利用できる経路(以下「特定経路」という。)にしなければならない。 (2)特定経路は、階段や2cm以上の段差を設けないこと。ただし、傾斜路又はエレベーター等を併設する場合は、この限りでない。 2出入口 (1)特定経路を構成する出入口は、次に揚げるものであること。 ア 有効幅は80cm以上とすること。 (2)屋外に通ずる主要な出入口のうち1以上は、前号に定めるもののほか次に定める構造とすること。 ア 戸を設ける場合は、自動的に開閉する構造又は車いす使用者が円滑に開閉して通過できる構造とすること。 3廊下等 (1)多数の者が利用する廊下等の床の表面は、滑りにくい仕上げとすること。 (2)特定経路を構成する廊下等は、前号に定めるもののほか次に定める構造とすること。 ア 有効幅は、120cm以上とすること。この場合、要所に車いすが転回できるスペースを設けること。ただし、車いすでの通行、転回が容易に行える場合には、この限りではない。 4階段 階段は、次に定める構造とすること。ただし、整備基準を満たすエレベーターを併設する場合には、この限りではない。 (1)手すりを設けること。 (2)床の表面は滑りにくい仕上げとすること。 (3)踏面は、端部とその周囲の部分との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより視覚障害者等が識別しやすいものとし、かつ、つまずきにくい構造とすること。 (4)主要な階段には、回り段を設けないこと。ただし、構造上やむを得ない場合は、この限りでない。 5傾斜路(屋内) (1)多数の者が利用する傾斜路は、次に掲げるものでなければならない。 ア こう配が1/12を超え、又は高さが16cmを超える傾斜がある部分には、手すりを設けること。 イ 床の表面は滑りにくい仕上げとすること。 ウ 傾斜路は、端部とその周囲の部分との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより視覚障害者等が識別しやすいものとする。 (2)特定経路を構成する傾斜路は、前号に定めるもののほか次に定める構造とすること。 ア 有効幅は、階段に代わるものにあっては120cm以上、階段に併設するものにあっては90cm以上とすること。 イ こう配は、1/12以下とし、高さが16cm以下のものにあっては1/8以下とすること。 ウ 高さ75cmを超える傾斜路にあっては、高さ75cm以内ごとに長さ150cm以上の踊り場を設けること。 エ 両側に側壁又は立ち上がりを設けること。 オ 傾斜路の始点及び終点には、車いすが安全に停止することができる平たんな部分を設けること。 6エレベーター 特定経路を構成するエレベーターは、次に定める構造とすること。 (1)かごは、各住戸、車いす使用者用駐車施設がある階及び地上階に停止すること。 (2)かご及び昇降路の出入口の有効幅は、それぞれ80cm以上とすること。 (3)かごの奥行きは、115cm以上とすること。 (4)乗降ロビーは、高低差がないものとし、その幅及び奥行きは、150cm以上とすること。 (5)かご内及び乗降ロビーは、車いす使用者が利用しやすい位置に制御装置を設けること。 (6)かご内に、かごが停止する予定の階及びかごの現在位置を表示する装置を設けること。 (7)乗降ロビーに、到着するかごの昇降方向を表示する装置を設けること。 7敷地内の通路(屋外) (1)多数の者が利用する敷地内の通路は、次に定める構造とすること。 ア 表面は、滑りにくい仕上げとする。 イ 段がある部分は、手すりを設ける。踏表面は、端部とその周囲の部分との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより視覚障害者等が識別しやすいものとし、かつ、つまずきにくい構造とすること。 ウ 傾斜路はこう配が1/12以上、又は高さが16cmを超え、かつ、こう配が1/20を超える傾斜がある部分には、手すりを設けること。傾斜路の面は、前後の通路との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより視覚障害者等が識別しやすいものとすること。 (2)特定経路を構成する敷地内の通路は、前号に定めるもののほか次に定める構造とすること。 ア 幅は120cm以上とし、車いすの転回に支障がない場所を設けること。 イ 戸を設ける場合には、自動的に開閉する構造その他車いす使用者が容易に開閉して通過できる構造とし、かつ、その前後に高低差がないこと。 ウ 傾斜路の幅は、段に代わるものにあっては120cm以上、段に併設するものにあっては90cm以上とすること。 エ こう配は、1/12を超えないものとし、ただし、高さが16cm以下のものにあっては、1/8を超えないものとする。 8駐車場 (1)車いす使用者用の駐車場を設ける場合、1以上は次に定める駐車施設とすること。 ア 幅は350cmを標準とすること。ただし、乗降時に支障がない場合は、この限りではない。 イ 当該駐車施設から利用居室までの経路ができるだけ短くなる位置に設けること。 ウ 駐車施設から利用居室までの経路についての誘導表示を設けること。 9標識・案内設備 (1)エレベーター、昇降機、便所又は駐車施設の付近には、それぞれ表示する標識を設けること。 ア 標識は、高齢者、障害者等の見やすい位置に設け、内容が容易に識別できること。 (2)建築物又はその敷地には、移動円滑化の措置がとられたエレベーターその他の昇降機、便所及び駐車施設の配置を表示した案内板その他の設備を設けること。 ア 案内板その他の設備は、視覚障害者に示すために、文字等の浮彫、音による案内、点字等の設備を設けること。 ただし、案内板その他の設備が容易に視認できる場合又は案内所を設ける等の代替措置をとる場合は、上記の限りではない。 10視覚障害者の誘導 視覚障害者を誘導する必要がある場合は、その経路には、点状床材等を敷設して注意を喚起し、それぞれの点状床材の間は、線状床材等によって誘導する。 ただし、これにより難い場合は、床の仕上げを工夫するなど、同等の効果があるものを敷設する。