2年度区長賞

更新日 2020年12月02日

税金を使うということ

菊地 奏 

 

「ただいま。」

母が帰って来た。予想していたとおり疲れ切って顔色も悪い。早く座って欲しくて、私は急いで冷たいお茶を持って来た。

 母は自治体に勤める公務員だが、現在は保健所が仕事先だ。コロナ禍の今、保健所は緊張感と多忙を極めていると聞いている。何とかしてコロナの感染を収束させて欲しいというのは全ての人々の願いだ。そのために人々はいろいろな声を保健所にも届けてくる。行政に携わる自治体側としても人々の切実な想いを何とかいい形で結果にしてゆきたいと苦労の日々が続いているのだ。

 行政の仕事の財源は税金だ。そもそも納税は国民の義務であり、寄付のように本人の自由意志で納めたお金ではない。どんなに生活が苦しくても収入基準を超えれば必ず定められた額の税金を納めなければならない。だから人々は必然的に「税金を取られた」という意識を持っても仕方ない。例えば、母の勤務する自治体では、ある特定の業種でコロナ陽性者が増えていることが分かり、この業種の従業員全員にPCR検査を受けてもらい、陽性者が出た店舗に休業要請する。要請に応じてくれた店舗へは休業助成金を支払うという施策を打ち出したそうだ。これに対して住民からは「そうだ、よくやった」という賛成意見もあれば「特定の業種だけ助成するのは不公平ではないか」「我々の税金でこの業種だけ助成するのは納得いかない」等、批判的な声も数多くあったという。税は自分が納めたお金なんだから自分の納得できないことに使われたくないと、住民の目が厳しくなるのも当然だろう。「税金を使って仕事をするって軽いことではないんだよ。」とは以前から母の言っていることだが、この頃加えて言うことは「より多くの人達から『やってもらってよかった』と思ってもらえる成果を出さなきゃだめなんだよ」ということだ。

 より多くの人の納得を目指し、様々な立場の意見を聞き、状況をよく見定めながら、人々から託された税金を使って仕事をしていく。それが行政で働く人の矜持であり使命なのだと話す母の側に座りながら、私も身の引き締まる思いがした。

 お金を使うことの緊張感、慎重さ、実は私自身、あまり気にしてこなかったと思う。決められたお小遣いは減らしたくはないけれどまぁ、足りなくなったらきっと何とかなるだろうぐらいに考えていたと思う。でもこのお小遣いそのものも「有効に意味ある使い方をして欲しい」という願いを込めて、両親が私に託した税とも言える。受け取る私はそこに親の愛情や願いが込められている事を自覚し、意味ある使い方をしなくてはならない。むろん、お金だけの事ではない。願いを込めて与えてもらったものを尊重し活かすこと。それが受け手としての私の義務なのだと思う。

再認識された税金の役割 

前田 雄登

 

 今年、世界を襲った新型コロナウイルス感染症は、世界全土で二千三百万人が感染し、死亡者も八十万人を超えようとする大災害となった。日本でも約六万人が感染しており、学校が三ヶ月以上も休校になったり、緊急事態宣言が出され、多くの飲食店に休業要請が出されたりする等、全く予測することができない事態となった。私も、感染しないように外に出るときは必ずマスクをする、手洗いうがいをしないと食べ物を口にしない等、細心の注意を払いながら生活している。

 このような中、全ての国民に対し、一人十万円の特別定額給付金が支給された。これは総額約十三兆円という金額だ。またその他にも学校に行けなかった小中学生のために、一人一台のパソコンの整備が約二千三百億円かけて予定より早く進むことになった。この他、企業への持続化給付金等、新型コロナウイルス感染症対応のための令和二年度第二次補正予算は、総額約三十二兆円という莫大な金額が計上されている。

 そして、この予算のほとんどが税金でまかなわれている。私は、今回の新型コロナウイルス感染症対応のための様々なニュースを見て、税金の役割を改めて知ることができた。普段から税金は、国民生活のために使われているということは知っていたが、その税金をどのように使うかについて国会で議論している内容を、テレビのニュースや新聞を読んでより深く理解することができた。

 もう一つ知ったことは、税金には国税と地方税があり、地方税の使い方はそれぞれの地域によって違いがあるということである。実際に東京でも、独自の給付金を支給した区があり、正直うらやましく思った。しかし反対に、自分の区は学校にパソコンがすでにそろっていること等、他の区よりも優れているところもあり、それぞれの都道府県や市区町村で、それぞれの実態に応じて、税金をどのような分野に使うのかを考えて行っているということがよく分かった。

 さらに、消費税十%を少しの間下げるべきではないかという議論もある。これについては、単純に考えると消費税は下がった方がよいと思うが、一方で国や都道府県・市区町村の貯金がほぼ底をついたという報道もあったので、今後のためには税金を払わなければならないとも思うので、難しい問題だと思った。

 今回の新型コロナウイルス感染症は、税金の必要性と用途を考えるきっかけとなった。賛否が分かれた事もあったが、国民のためにこれからも真剣に議論して使ってほしいと思った。またそのためには、国民が税金をきちんと納めなければならない。

 私はこれからも、税金について関心をもち、税金で作られたり、支給されたりしているものを大切に使うこと、そして大人になったらきちんと税金を納めることを強く決意した。 

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