向丘追分町会

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文京区町会連合会創立60周年記念誌「六十年のあゆみ」(2014年11月発行）掲載内容

本郷通りを挟む向丘一丁目と二丁目の地域は、戦災から免れ、谷中・根津に次ぐ下町風情の残る町として栄えてきたが、昭和末期から平成初頭のバブル景気時には、地上げが起こり、町内に空き地・空き家が増え、防火・防犯対策が懸案となった。
その頃、「町をなんとか守ろう」「住みやすい、より良い町を作ろう」と町会役員が立ち上がった。地下鉄南北線の開通を念頭に、街路灯・掲示板の設置など、町の整備を進めた。また、近隣同士のふれあいの場を作るため、餅つき会、防災訓練、納涼まつり、ラジオ体操会、敬老お祝い品のお届け、寿の集い、根津神社祭礼、歳末夜警、米作り体験（商栄会との協力）などを実施して努めてきた。
昨今、マンション、高齢者入居施設や大学などの高層建物が建ち並ぶなど、町は大きく様変わりしたが、その中でも、先人たちの思いはしっかりと受け継がれている。
平成23年、57年ぶりに、戦後間もなく作られた大人神輿に、総修理を施した。解体された神輿の屋根裏から、神輿作成時の趣意書と連綿と綴られた御寄附者名簿（246名）が発見された。当時の方々の、町を盛り上げようとする篤い気持ちが感じられた。今般の神輿修理にかかる費用の捻出は大きな課題であったが、町会員・有志の方々のご協力により、予想を上回る御寄附金が寄せられた。伝統ある神輿と町をしっかり守り、後世に伝えようとする思いが受け継がれていることを再認識した。
首都直下型大地震が案じられている今日、より堅固に備えねばならないが、何より、近隣住民たちの互いに助け合う心が大切である。そのためにも、常日頃から町会活動を通した「つながり」が不可欠だ。
より良い住環境を作るため、古き良き伝統を守りながら、新しい人々との和を大切に、皆で力を合せて邁進する所存である。