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炭団坂〈たどんざか〉 ―近代文学発祥の坂道―

文京区本郷4丁目32と35の間

炭団坂
炭団坂 2004年撮影

 本郷の台地より菊坂方面へ下る急な坂道で、現在は53段の階段坂となっています。坂名由来は、「往昔炭団を商ふ者多く居りしに因り」(『新撰東京名所図会』)、あるいは「切立てにて至て急成坂に有之候、往来の人転び落候故」(『御府内備考』)などの説があります。

炭団
炭団


 ちなみに炭団とは炭にふのりなどを混ぜ、球状に固めた燃料のことです。丸い炭団のように転げ落ちる、あるいは転んで炭団のように真っ黒になるということでしょうか。

「炭団坂」
明治40年頃の炭団坂(新撰東京名所図会 )


 この炭団坂上には、かつて坪内逍遙がくらし、明治18年、『小説神髄』『当世書生気質』を発表しました。少し大げさに言えば、炭団坂はまさに近代文学発祥の坂道ということになります。逍遙転居後、そこは旧松山藩主久松家運営の寄宿舎「常盤会」となり、正岡子規・河東碧梧桐・高浜虚子など、後に日本の俳壇を担う人々が青春時代を過ごします。その様子を描いた作品に、司馬遼太郎『坂の上の雲』があります。