区長就任にあたっての所信表明(平成27年6月文京区議会定例議会)
平成27年6月文京区議会定例議会(平成27年6月10日)
私は、4月の区長選挙におきまして、多くの区民の皆様からのご支援をいただき、引き続き区政を担うこととなりました。
区長3期目にあたり、私の今後の区政運営に対する所信を申し述べ、区議会並びに区民の皆様にご理解とご協力のお願いを申し上げたいと存じます。
【区政運営の基本ビジョン】
私はこれまで、「文の京」の未来を担う「子どもたち」と、地域を守り育ててくれた功労者である「高齢者」という大切な2つの世代を繋ぐ「責任世代」として、すべての世代に豊かな暮らしを実感していただくよう、多様な施策の充実に全力で取り組んできたところです。
区長3期目を迎え、今回の政策スローガンを「子どもたちと高齢者への応援歌~第三楽章へ~」とし、この4年間の区政運営の基本ビジョンを「『文の京』を未来へ繋ぐ。」といたしました。
一人ひとりが自分らしく輝くことで「文の京」の魅力をさらに高め、すべての区民が「住んでいて良かった」「これからも住み続けたい」と実感するとともに、区外の方にも「是非住んでみたい」と思われる自治体として、今後も持続可能な成長を続けていくよう努めてまいります。
本年度は、10年後の将来都市像を掲げた「基本構想」の策定から5年目にあたり、計画期間の折り返し地点を迎えました。基本構想を実現するための重要な柱として、「基本構想実施計画」に掲げる事業を着実に実施し、基本ビジョンに掲げたように文京区を輝かしい未来へ繋ぐ役割をしっかりと果たしてまいります。
また、本区の人口が20万人を突破し「選ばれる自治体」として発展を続けてきた一方、高齢化の更なる進展や子育て支援のニーズの増大等も予想されております。そのため、新たな「地域福祉保健計画」に基づく施策の一層の充実を図り、複雑化かつ多様化する様々な課題に対し、きめ細やかに対応してまいります。
【今後の主な取り組むべき課題】
次に、主な6つの分野において取り組むべき課題を申し上げます。
子育て・教育
1点目は、「子育て・教育」についてです。
保育ニーズの増加に対応するため、認可保育園の増設を基本としつつ、小規模保育等についても拡充を図り、待機児童の更なる解消に取り組んでまいります。
あわせて、今後5年間に育成室を5室増設するほか、放課後全児童向け事業を小学校全校で実施するなど、すべての子育て世帯が地域の中で安心して子育てができる環境づくりを進めてまいります。
教育施策については、本年度、首長と教育委員会で構成する総合教育会議を設置し、「教育振興基本計画」をもとに「文の京」の教育大綱をお示しいたします。今後とも、学校や家庭、地域が一体となって子どもたちを育んでまいります。
福祉・健康
2点目は、「福祉・健康」についてです。
高齢期になっても、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援サービスを一体的に提供していく「地域包括ケアシステム」を構築してまいります。また、区有施設の跡地や公有地を積極的に活用し、特別養護老人ホーム等の介護施設や障害者のグループホーム等を整備してまいります。
また、男性不妊検査費助成事業や、ハッピーベイビープロジェクトを通じて、妊娠・出産を望む区民一人ひとりの主体的な健康づくりを促進するとともに、より身近な場で、妊産婦やその家族を支える「文京区版ネウボラ事業」の産前・産後サポートや産後ケアにより、妊娠・出産・子育て期にわたる切れ目のない支援を行ってまいります。
コミュニティ・産業・文化
3点目は、「コミュニティ・産業・文化」についてです。
これまで実施してきた町会・自治会活動への支援強化に加え、マンション管理組合等に対する支援を検討するなど、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。
産業振興においては、メディカルHongoプロジェクトにより、医工連携の協議会や展示商談会等を開催し、医療機器産業の支援を強化してまいります。
あわせて、「創業支援事業計画」に基づく創業支援セミナーや起業家との交流会等を実施し、区内での創業を促進してまいります。
さらに、国や都の交付金を活用し、プレミアムお買物券の拡充を図るなど、商店街をより一層支援してまいります。
また、観光振興、国際交流、女性活躍、コミュニティデザイン等の分野において、大学との連携をより一層進め、区民に文化や教育の場を提供することにより、本区の魅力を高めてまいります。
まちづくり・環境
4点目は、「まちづくり・環境」についてです。
ハード・ソフトの両面から誰もが暮らしやすいまちづくりを推進するため、本年度、「バリアフリー基本構想」の策定に取り組むほか、「環境基本計画」について、循環型社会や低炭素社会、生物多様性等への対応を含めた総合的な計画に改定してまいります。
また、身近な区立公園、児童遊園等を、より安全・安心で快適なものとするため、「公園再整備計画」に基づき、地域の声を取り入れた特色のある公園整備を進めてまいります。
さらに、大塚五・六丁目地区において不燃化特区事業を実施し、災害に強いまちづくりを促進してまいります。
2020年オリンピック・パラリンピックとグローバル化
5点目は、「2020年オリンピック・パラリンピックとグローバル化」についてです。
2020年東京オリンピック・パラリンピックは、歴史と文化に育まれた「文の京」の魅力を国内外に発信する絶好の機会と捉えています。
大会開催に向け、未来のアスリート育成や区内の女子サッカークラブ「文京LBレディース」への支援等により気運醸成を図るとともに、外国人観光客の増加を見据え、区有施設の多言語化対応、語学ボランティア・スポーツボランティアの育成等により、おもてなしのまちづくりを進めてまいります。
また、障害者スポーツの推進等を通じてパラリンピックを支援していくほか、オリンピック・パラリンピックでの練習会場としての利用も想定しながら、スポーツセンターの全面的な改修工事を行ってまいります。
なお、野球・ソフトボール競技の復活と、それに伴う東京ドームでの開催については、引き続き様々な機会を捉え、関係機関に対し、強く要望してまいります。
「文の京」を輝く未来へ繋ぐために。
6点目は、「『文の京』を輝く未来へ繋ぐための取り組み」についてです。
本区では現在、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関であるUN Women日本事務所のシビックセンター内開設に向け、準備を進めているところです。こうした取り組みにより、女性が輝く社会づくりの重要性を発信してまいります。
あわせて、男女平等参画推進条例に盛り込まれたダイバーシティの精神を施策に反映していくとともに、ワーク・ライフ・バランスを推進し、すべての人が性別にかかわりなく、個性と能力を十分に発揮することにより、互いの違いや多様な生き方を尊重する社会を未来に繋いでまいります。
また、子育て支援や高齢者福祉など多様な区民ニーズに的確に対応していくための財政基盤の構築と、区政を支える改革志向の職員育成を図り、品質志向の区政運営を実現してまいります。
【おわりに】
以上、区政運営の基本ビジョン及び主な6つの分野において取り組むべき課題について申し上げました。
人口の増加傾向が続く本区においても、少子高齢、人口減少社会の到来を視野に入れた区政を展開していくことが求められております。
今国会では、地域の実情に応じたきめ細やかな施策を可能とする観点から、地方創生の取り組みに要する経費を予算措置するなど、緊急経済対策を引き続き推進することが決定されたところです。
本区を取り巻く状況が変化する中で、20万区民の「文の京」を未来へ繋ぐため、そして、「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるまち」の実現に向け、様々な世代を支える施策の充実に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
今後とも、区議会並びに区民の皆様の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。
ご清聴ありがとうございました。
【本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更が生じることがあります。】