令和元年度食品衛生事業実施結果
監視指導の実施体制
食品衛生に関する監視指導は、文京保健所生活衛生課食品衛生担当が実施しました。
この他に、東京都と協力の上、大規模製造業、食品流通拠点及び輸入食品、並びに複数の区にまたがっての有害食品の排除及び違反処理などに係る監視指導を実施しました。
主な監視指導事業
「食品衛生法」、「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」、「東京都食品安全条例」、「東京都食品製造業等取締条例」、「東京都ふぐの取扱い規制条例」及び「食品表示法」の遵守の徹底、製造、加工及び調理の各段階における一般的衛生管理の徹底を図るため、次の各事業を実施しました。
食中毒防止対策
飲食店等施設の重点的監視
- 食中毒の発生リスクの高い業種、及び食中毒発生時に大規模な患者発生につながる集団給食などの大量調理施設に対する監視指導を適切な時季に実施しました。
- 牛豚以外や家禽類の食肉及び内臓の生食提供施設について重点監視を実施しました。
- 野生動物等捕獲肉(ジビエ)の提供に関して、区内におけるジビエ肉流通実態調査及び取扱いにおける監視指導を実施しました。
食中毒予防対策
腸管出血性大腸菌、サルモネラによる散発型食中毒を未然に防止するため、東京都と協力し、保菌者検索事業を実施しました。
食中毒発生予防のために食品衛生関係事業者に対する自主検便を奨励しました。
食中毒事故発生時対策(食中毒発生状況)
区民からの健康相談や病院等から食中毒の届出を受けると、直ちに、原因食品、原因施設の調査を行い、その結果に基づき、被害の拡大を防止するための措置をとり、食中毒発生の原因・感染経路の解明、及び再発防止に努めました。 また、原因施設が区外にある場合や喫食者が区民以外の場合は、東京都を通して調査を依頼しました。同様に東京都からの依頼による区民の健康状況や施設の調査を行いました。
発生月日 |
患者人数 |
摂食者等人数 |
原因食品 |
病因物質 |
原因施設 |
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なし |
なし |
なし |
なし |
なし |
なし |
また、原因施設が区外にある時は、東京都を通して施設の調査を依頼しました。同様に東京都からの依頼による区民の健康状況や施設の調査を行いました。
調査の結果、食中毒と断定できない有症苦情、区外で発生した事件の関連調査、保菌者等関係調査及び感染症等調査の合計は114件、患者及び有症者220人、施設調査76軒、医療機関30施設でした。
原因究明のために、糞便、拭き取り、飲食物等の検査を行いました。
検査検体数:166件(実施機関:東京都健康安全研究センター)
危機管理体制の充実
平時、関係機関への情報提供に努め、連携して大規模な食中毒発生に対応できる危機管理体制の充実を図っています。
違反・苦情食品対策
不正な添加物使用などの違反食品や異物混入などの苦情食品を未然に防止するため、製造・加工から販売まで監視指導を実施しました。
違反食品への対応
違反食品が確認された場合は、当該食品が販売や使用されないよう、関係機関と連携し、回収及び廃棄などの危害除去の措置を実施し、当該事業者に対して、再発防止を目的として監視指導を実施しました。
自主回収報告制度
東京都安全条例に基づく「自主回収報告制度」により、区内営業者からの自主回収報告を受理した場合には東京都に報告します。
令和元年度は、区内で営業者からの自主回収報告制度に基づく報告は無く、自主回収報告制度に基づかない報告が1件あった。
区民からの苦情への対応
区民からの食品関係の苦情については、速やかに調査を行い、適切な処置と解決に努めました。
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総数 |
異物混入 |
腐敗・変敗 |
異味・異臭 |
カビ |
表示 |
変色変質 |
施設取扱 |
体調不良 |
その他 |
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令和元年度 |
124 |
24 |
2 |
4 |
3 |
6 |
2 |
36 |
27 |
20 |
平成30年度 |
81 |
10 |
1 |
1 |
2 |
0 |
2 |
23 |
31 |
11 |
苦情検査検体数:0項目
(検査機関:東京都健康安全研究センター、保健サービスセンター本郷支所、文京保健所)
食の安全に関する相談
食品衛生関係営業者、消費者に対して来所・電話等により食の安全に関する相談に応じました。
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対応総数 |
電話 |
窓口 |
---|---|---|---|
令和元年度 |
15,016 |
8,837 |
6,179 |
平成30年度 |
15,866 |
9,848 |
6,018 |
広域流通食品対策
有害食品などの流通を防止するため、東京都、特別区など他の自治体と連携し、製造業における原材料、製造工程及び製品の監視指導、並びに流通過程における問屋業及び販売業などの流通拠点の監視指導を実施しました。
輸入食品対策
輸入食品の安全確保を図るため、情報収集に努めるとともに、区内に流通する輸入食品の監視や輸入業者への指導を実施しました。
適正な食品表示への対策
食品表示法及び食品衛生法(移行期間中)に基づく食品表示制度、特にアレルギー特定原材料に係る表示制度の周知と適正な食品への表示について監視指導を実施しました。
食肉の衛生対策
食肉の安全確保を図るため、食肉販売業、食肉処理業並びに食鳥処理場の監視と併せて厚生労働省や東京都と協力し細菌検査や抗菌性物質の検査などを実施し、結果に基づく衛生指導を実施しました。検査の結果、法基準に違反するものはありませんでした。
また、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌O157等による食中毒発生の危険性が高い生食用牛肉取扱飲食店及牛以外や家禽類の食肉及び内臓の生食提供施設に対する監視指導を実施しました。
抗菌性物質検査検体数:6検体(検査機関:東京都健康安全研究センター)
細菌検査検体数:6検体(検査機関:東京都健康安全研究センター)
腸管出血性大腸菌O157対策
食品の安全確保を図るため、食品衛生検査(細菌検査)の際に腸管出血性大腸菌O157等の検査を実施しました。
検査検体数:209検体(検査機関:保健サービスセンター本郷支所)
食品製造業の衛生対策
食品の安全確保を図るため、食品製造業に対し重点的な監視を行い、製造工程の衛生管理、品質管理及び製造記録の確認を実施しました。
特に、食肉製品製造施設を対象に施設設備の拭取り調査を実施し、製造施設内のリステリア菌汚染低減化に向けた対策指導を行いました。
また、菓子製造施設を対象に、製造工程に沿った施設設備の拭き取りおよび食品の検査を行い、衛生状況および製造品に問題がないことを確認しました。
今後も、モニタリング検査等による定期的な効果の検証継続が必要となっています。
ノロウイルス対策
学校や高齢者福祉施設などにおいて、主に冬季にノロウイルスを原因とする食中毒及び感染症が全国的に多発しているため、これらの施設等に対し、ノロウイルス食中毒を防止するために関係機関と連携しながら監視指導を実施しました。
学校及び社会福祉施設等の給食施設への監視指導:330施設
試験検査実施機関の実施体制
食品衛生監視指導に係る試験検査は、主に保健サービスセンター本郷支所試験検査担当が実施しました。食品衛生の検査を行う施設については、食品衛生法に基づく業務管理を実施して検査の信頼性を確保しています。
また、食中毒などの調査に関する試験検査や高度な検査技術を要する検査については東京都との協定に基づき、東京都健康安全研究センターに委託しました。
その他、厚生労働省登録検査機関を活用した検査も併せて実施しました。
立入検査及び食品衛生検査
立入検査
食品衛生法、食品製造業等取締条例及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律等に基づき飲食店、食品製造施設、食品販売施設、食鳥処理事業等の許認可事務を行うとともに、これらの施設の衛生状態や食品の取扱い状況について監視指導を実施しました。
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食品衛生法関係 |
食鳥処理場(認定小規模施設) |
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施設総数 |
監視指導件数 |
施設総数 |
監視指導件数 |
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令和元年度 |
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平成30年度 |
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一斉監視
食中毒が多発する夏季及び食品流通量が増加する歳末には、重点的に立入検査を実施しました。
また、腸管出血性大腸菌O157対策については、前年に引き続き、自主管理体制の強化と給食施設等の監視強化を図りました。
また、冬季にノロウイルスによる感染症予防対策も含めて学校・病院・社会福祉施設等の集団給食施設など重点的な一斉監視指導を実施しました。
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総数 |
夏期一斉 |
歳末一斉 |
給食等大規模 |
その他(緊急含む) |
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令和元年度 |
4,278 |
1,203 |
697 |
472 |
1,906 |
平成30年度 |
4,372 |
1,235 |
695 |
451 |
1,991 |
食品衛生検査
有害食品や違反食品を排除するために、年間を通して時季に応じた食品検査を実施するほか、夏季及び歳末には一斉取締り事業の一環として、重点的に検査を実施しました。
その他に、食品取扱施設に立ち入る際に、衛生指導に役立てるために現場で実施できる簡易な検査(現場簡易検査)も実施しました。
さらに、消費者の食の安全に対する不安要因となっているアレルギー物質やノロウイルスの検査を実施しました。
細菌検査
検査の結果、弁当調理パン等9検体、そう菜類1検体、菓子及び材料2検体、魚介類加工品1検体及び豆腐1検体が文京区の細菌検査判定基準より多くの細菌が検出されたため、営業者に対し改善指導を行いました。なお、区内に製造者がない弁当については、製造所を所管する自治体に指導依頼を行いました。
検査項目:細菌数、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌O157、腸炎ビブリオ、カンピロバクター等
検査実施検体数:209検体(検査機関:保健サービスセンター本郷支所)
化学検査
検査の結果、特に問題となる添加物は検出されませんでした。
検査項目:食品添加物検査と、国の定めた食品の規格基準適合検査
検査検体数:69検体(検査機関:保健サービスセンター本郷支所)
表示検査
食品検査実施時に、食品表示があるものについて食品表示法に定める衛生事項の表示検査を行いました。
表示検査数:76検体
現場簡易検査
食品取扱施設への立入時に、スタンプスプレード法等による細菌検査やATPふき取り法による洗浄試験などを実施しました。
細菌検査検体数:1,378件
化学検査検体数:829件(清浄度試験、油の検査等)
アレルギー物質の検査
区内で製造及び販売されている加工食品のアレルギー特定原材料(卵、乳、そば、小麦、落花生、甲殻類(えび、かに))を検査したところ、原材料に使用表示のないアレルギー特定原材料の検出はありませんでした。
検査検体数:15検体(穀類加工食品2検体、調味料2検体、菓子・製菓材料4検体、魚介類加工品2検体、その他加工食品5検体)
(実施機関:公益社団法人日本食品衛生協会)
安全性検査:ノロウイルスおよびA型肝炎ウイルス等の検査
区内に流通する生かき等貝類について、ウイルス(ノロウイルス、サポウイルス、アストロウイルスおよびA型肝炎ウイルス)検査を実施したところ、生食用かき1検体、加熱用かき2検及びホンビノス2検体からノロウイルスが検出されました。また、ホンビノス2検体からアストロウイルスが検出されました。
検査検体数:32検体(二枚貝類(かき、しじみ、あさり等)21検体、加工魚介類(ちりめん等)3検体、冷凍果実類(ストロベリー等)8検体)(実施機関:一般財団法人東京顕微鏡院)
不利益処分等
食中毒の発生や違反食品の発見など、緊急な安全確保が必要とされる場合に、「営業停止命令」、「施設取扱改善命令」及び「販売禁止命令」の行政処分を行います。
また、法違反に対する行政処分などの措置を実施したときは、食品衛生上の危害の状況を明らかにするため、法違反者の名称、施設名などを公表します。
処分年月日 | 業種 | 原因食品 | 処分内容 | 理由 |
---|---|---|---|---|
令和元年4月3日 |
飲食店営業 | 刺身盛り合わせ(シメサバ含む) | 営業停止及び取扱い改善 | 食中毒 |
食品関係事業者による自主的な衛生管理の推進
優良施設表彰
令和元年11月6日、文京シビックセンタースカイホールで食品衛生優良施設の区長表彰を行い、8施設を表彰しました。
食品衛生推進員活動
食品衛生の向上に関する自主的な活動を推進し、区民の食生活の安全確保をするための民間協力者として、文京区食品衛生推進員設置要綱に基づき11名の食品衛生推進員を委嘱し、その活動を支援することにより、地域の食品衛生の向上を図りました。
主な活動:街頭相談、食品衛生講習会講話 、リスクコミュニケーション事業参加
自主管理認証制度
食品衛生講習会等を通じて、東京都食品衛生自主管理認証制度等を含む食品衛生関係の情報を食品関係事業者に提供し、自主的な衛生管理の推進を図りました。
文京区内の認証施設:給食施設2軒、食肉処理施設1軒、菓子製造業(本部認証)1軒
文京食品衛生協会との協働
文京食品衛生協会と共催で各種事業を実施しました。
食品衛生協会の自治指導員等を通じて、自主的な衛生管理に関する情報及び技術を食品関係事業者に提供し、支援を図りました。
共催事業:自治指導員自主検査200軒、自主検便627名、優良施設表彰13施設、優良従業員表彰13名、自治指導員講習会3回、健康教室1回
区民・事業者・行政間の情報及び意見の交換及び食品衛生に係る人材の養成及び資質の向上
情報提供及び普及啓発
食品衛生推進員、食品衛生自治指導員に対して最新情報の提供し、資質の向上を図りました。
食品関係事業者に対しては、法令の改正や一斉取締を実施した際の業態別衛生講習会の開催や実務講習会を通じ、機会あるごとの最新情報と自主的衛生管理の手法について提供に努めました。
区民に対しては食品衛生街頭相談所・講演会等を実施するとともに、「区報ぶんきょう」・区ホームページ・ポスター等に食品衛生に係わる記事を掲載し、情報提供を行いました。
衛生講習会・文京お届け講座等の開催:食品取扱従事者 24回 1,153人 、一般消費者 26回 229人
「区報ぶんきょう」への記事掲載:10回、「区設掲示板」への啓発ポスター掲示:6回
健康生活関連イベント等での食品衛生普及啓発:3回 4,413人
食品衛生監視指導計画の策定と公表
食品衛生監視指導計画を策定するにあたっては、その案を文京区ホームページや保健所窓口等で公表し、広く区民や食品等事業者からの意見を募り、実施計画に反映させました。決定した食品衛生監視指導計画及び実施状況についても、文京区ホームページに掲載したほか、保健所窓口及び区政情報コーナーなどで配布しました。
区民・事業者・行政間の情報及び意見の交換
食の安全に関する意見交換会及び情報提供の一環として消費者懇談会とフォーラムを実施しました。
ア 消費者懇談会
日時:令和元年8月7日午後2時から4時まで
場所:文京シビックセンター3階栄養指導室
講演内容:消費者懇談会「学ぼう食品衛生!プロが教える洋菓子教室」
講師:高木厚志氏(ホテル椿山荘東京ペストリー課長)
参加人数:15名
イ 食の安全フォーラム
日時:令和元年10月2日午後2時から4時まで
場所:区民センター3ーA会議室
講演内容:令和元年度食の安全講演会「毒きのこについて学ぼう」
講師:中島英雄氏(東京都多摩府中保健所)
参加人数:68名
食品衛生監視員等の研修
内閣府食品安全委員会、厚生労働省、東京都及び特別区が実施する研修に、食品衛生監視員及び検査担当技術職員を受講させ、知識や技術の向上を図りました。
〒112-8555 東京都文京区春日1丁目16番21号
文京シビックセンター8階南側
生活衛生課食品衛生担当
電話番号:03-5803-1228
FAX:03-5803-1386