文京区障害者地域自立支援協議会 平成30年度 第3回障害当事者部会 要点記録 【日時】平成30年11月1日(木)  14時~16時 【場所】文京シビックセンター3階 障害者会館 会議室C 【出席者】 髙山 直樹 (自立支援協議会 会長) 志村 健一 (自立支援協議会 副会長) 小和瀬 芳郎 (精神障害) 天野 亨 (身体障害) 永野 栄一郎 (知的障害) 竹間 誠次 (知的障害) 福田 美紗子 (身体障害) 阿部 英幸 (障害福祉課 課長) 【事務局】 美濃口、立柳、林 (文京区障害者基幹相談支援センター) 【欠席者】 なし 【補助人】 北見 忍(補助人)             【傍聴者】 5名 【開会前に事務局からの連絡】 ・出欠席の確認 ・傍聴の確認 ・会議録作成のため、会議内容の録音についての確認 ・配布資料及び会議録はホームページに掲載 ・配布資料の確認 ・本日の進行、流れの確認 1.開会挨拶 副部会長 永野栄一郎氏 2.「日常の困りごと」について【資料第1号】  司会:志村委員 (1)「孤独感について(対処の方法など)」 ・ 人に依存する傾向がある。自己完結できずにアドバイスを求めたり、なんでもない話をしたくなる。年齢を重ねるとそんな話をできる相手がいない。 ・ どんなにすばらしい家族でも「孤独」は感じる。「孤立」と「孤独」は違う。「孤立」させてはいけない、「孤独」はつきまとう宿命のようなもの。 ・ 友人と飲みに行く。 ・ 自分のことを正直に話せる存在がいなくなる。友人も生活パターンが異なっていき、会うことも難しくなる。 ・ 携帯(ガラホ)でSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を見る。それでも一時の孤独を紛らわせるだけ。 ・ いのちの電話(自殺予防)があるように、みんな「孤独」に悩んでいる。 ・ 「孤独」を楽しむことはできないか? ・ 一人の気楽さは一時、やがて寂しさが現れる。 ・ コミュニティの中に「居場所」「役割」があれば「孤独」もやり過ごせる。 ・ だんだんと周りの人も亡くなり、喪失感による「孤独」がある。 ・ 北中城村(沖縄県)では女性が長生き。男性が亡くなり、後の女性は地域の中で様々な役割を持ち、社会・人に影響を与えて生きている。そういった居場所や役割が必要。 ・ 勉強する。 ・ 音楽活動なども対処方法のひとつだが、仕事になると、ストレス解消にはならない。 ・ 孤独は自分との闘い、自分のやりたかったことをやる、趣味から楽しみに繋がる。 ・ 趣味で作ったものを他の人にあげたり、仕上がりを考えたり、他の人との繋がりにもなる。 ・ 陶芸などもどうか?作る、人にあげるなど。 ・ なんでも話せる友達(自分を裸にできる友達)を2~3人作ると救いになる。ネットワーク作りが大切。 ・ 自分から積極的に友達を作りに行く、年を重ねたからこそ若い頃とは違う人づきあいができる。 ・ 教育の森公園で「芋煮会」もあるように、当事者部会で区内の無料参加できるイベント情報を集めてみたらいいのではないか。他区(近隣)でも多くある。 ・ 聴覚障害など他障害の方の「孤独」も支援できるといい。親会にも伝えていければよい。 (2)「就労について」 働く中での困りごと ・ 実習(区役所)で物を運ぶことは足・腰が疲れる。短時間でも働けるようになるといい。 ・ 職場内の人が大きな声でうるさい。雑音ではなく声の大きさが気になる。仕事の環境作りが必要。 ・ 都の月1回のピアカウンセラーの仕事は利用者がおらず、拘束時間が長いため「暇疲れ」する。予約もないのに部屋にいなければならない。 ・ ピアカウンセラーが周知されていないのではないか。どんなものか住民に分からないのでは。 ・ (事務局より)文京区内では2年前から実施しているが、カウンセリングは行なえていない。ニーズ把握も含めて「ピアサポート」という形をとりグループで行っている。知的・精神は来所が多かったが減少傾向であり、今年度から出張型で地域の各事業所で実施予定となっている。 ・ 地域を限ると顔が分かって参加しづらいかもしれない。地域で限られない方がいいのではないか。 ・ 同じ地域でないと分からないもの、共有できるものもある。難しい。 ・ 自分たちのできること、できないことを周りに伝えていくことの大切さ・難しさがある。 ・ 就労支援部会でもとりあげて、企業に勤めている人向け、自営業者への支援についても考えてもらう機会にしてはどうか。 ・ ヘルプマークは移動場面に限らず仕事の場面でも配慮に繋がる。 ・ 区でのインターンシップで立ち仕事は難しいと言うか言わないかで悩んだ。 ・ 無理な仕事は怪我の可能性もあり、実施が難しい内容を事前に伝えられるといい。 ・ 職場内で苦手・得意のアピール、役割分担ができるといい。 ・ 就労支援部会に区のインターンシップ担当も来るため改善に繋がるかもしれない。 ・ 仕事の得意・不得意のマッチングができるとよい。 ―――休憩――― 3.津久井やまゆり園の事件について【資料第2号1-2】【当日配布資料:写真含む】 髙山委員より ・ 加害者の現状の説明:横浜の刑務所に服役中。事件当時の考え方が変わらず「重度障害者は生産性がなく税金を食いつぶすだけ」として本を出版。NHK横浜の記者が手紙のやり取りをしており、関係構築後刑務所に面会に行って考え方が変わっていないことが確認され、NHKでTV放送された。 ・ 加害者は「やまゆり園に勤めなければそんな考えにはならなかった」と話しており、環境に最大の問題がある。 ・ 施設の中で生活が完結していた。施設の問題として議論になった。 ・ 施設入居者の関係者は家族と施設職員のみ。閉ざされた空間で過ごしていることが問題。 ・ 事件で亡くなった方はいまだに匿名で報道されている。実名が知れたら家族の元にマスコミが来るんじゃないかとの懸念から神奈川県警へ家族会が要望を出した経緯がある。 ・ 「匿名」であることは「二重の抹殺」として、実名報道を望む声もある。本当の権利を望むのであれば、支援者も「それはおかしい」と声を上げなければいけない。匿名として隠すことは存在の抹消であり、二重の抹殺になりえる。 ・ ナチスドイツのヒトラーが謳った優生思想について。ドイツ人が最も優秀とし、ユダヤ人の虐殺をしていたが、ユダヤ人よりもまず「ドイツ人の障害者」を虐殺していた。障害者1人が生きるために税金を使っても、その人は生産性がない。同じ額で5人の家族が養える。これは津久井やまゆり園の加害者と同様の考え方であり、そういった考え方の日本人は多い。 ・ 事件で生き残った110人は今後自分がどこで、誰と生きるかを決めて生きていくことができる。環境が変わることで意思の表明が可能になっていく。街中で暮らし刺激があることで「あそこに行きたい、あれが食べたい」と意志が表れる。神奈川県では「友達」という形で、3名ほど学生が定期的に面会する事(予算化を検討中)で友達への感情表出がある可能性がある。意思を引き出すことに繋がる。 【感想】 ・ 子どもの障害を親が隠す。なぜ周りに発信していかないのか、助けが得られたかもしれない。恥ずかしいという思いもあるのか。親が亡くなったらどうするのか。 ・ 神奈川のグループホームは横浜で700カ所あるが、障害者の親は施設がいいと言う。 ・ 施設は人数が多くお風呂の自由がない、窮屈なイメージ。病院も同じ。 ・ 街に出ると見たことがない青空が見える。施設では看護師のバイタルチェック、栄養士の食事管理など全部職員が決めている。職員が頑張れば頑張るほど利用者が意思決定しなくなる。管理されると元気がなくなる。 ・ スウェーデンでのノーマライゼーションによって脱施設化、地域でこそ意思をもって生活できると謳われた。内なる差別の問題。福祉、教育、医療関係者が障害者を対等に捉えられているか、そうでないと虐待に繋がる。偏見・差別観は誰にでもある。当事者同士でも。 ・ 福祉は強みを見つけていく支援であるが、施設管理の体制では利用者に元気がなくなってしまう。そうすると津久井やまゆり園の加害者のように「この人たちはいらない」になってしまう。職員が頑張るほど利用者の元気がなくなるという矛盾に気づけているか。「差別をなくそう」という言い方が正しいのか。差別はなくならないことを前提に、自身の差別観にしっかり「気づいている」ことが大切。当事者部会は学び合える場所であってほしい。 ・ 知的障害の方は週末を家族と過ごす人が多い。人間関係では家族と支援者だけになってしまう。大学の学生と「友達」になる支援もある。障害者が街にいることを知ってもらう事にも繋がる。 ・ スウェーデンではGHで暮らすうえで大切な制度「友達」がある。交通費等は州から出ており、地域で遊びに出かける。友達には「会う」ことも大切。 ・ 外出するにしてもガイドヘルパーは選べない。選べるほうがいい、緊張せずにいられるし、プライベートな情報も共有するのだから、誰でもいいわけではない。 ・ 神奈川の長屋を見本に「文京区お友達プロジェクト」を考えてみてはどうか。 4.その他 (1)第4回開催について 第2,4回目を茶話会形式で、との意見があった。前回、4回目の開催を区民センター1階「サインウィズミー」での茶話会という意見があり実施について検討する。 【結果】 春日店での実施。傍聴についても事務局で検討する。 実施であれば事務局にて地図の準備、終了時間は通常の部会と同様になる。次回は平成31年1月または2月に実施予定。 (2)福祉センター祭りについて【資料第3号、チラシ配布】 11月10日の模擬店はワッフルを販売する。 当事者部会の方はどんな参加方法でも良い。販売に参加する場合はエプロン、三角巾を持参する。 最終打合せを11/5(金)14:30~15:30で実施予定。