平成28年度　文京区障害者地域自立支援協議会　
第2回権利擁護専門部会　議事録

1　日　時　平成28年9月28（水）　午後6時30分から午後8時30分
2　場　所　文京シビックセンター3階会議室

3　出席者：【協議会会長】髙山　直樹　
【委　員】松下功一・大形利裕・美濃口和之・浦﨑寛泰・箱石まみ・中村智惠子・
　賀藤一示・新堀季之・杉浦幸介・久米佳江・田沼綾・望月大輔・
　欠席者：【委員】井上遼太・小谷野恵美・永尾真一

4　次　第
　1　開会
　2　議題
　(1)意思決定支援について　髙山会長より講義【資料第1号】
　(2)事例発表1　就労支援に関わる意思決定支援【資料第2号】
　(3)事例発表2　成年後見制度における意思決定支援
　3　その他

5　配布資料
　資料第1号　意思決定支援について
　資料第2号　就労支援における意思決定支援
　参考資料　神奈川県自立支援協議会会長メッセージ「共生社会の実現に向けた自立支援協議会の役割：津久井やまゆり園の事件を受けて」

6　意見等
（1）事例発表1　就労支援に関わる意思決定支援について
○就労支援の場での意思決定支援の難しさを感じている。会社で働くことは自分のしたいことと現実に折り合いをつける必要があるが、どう支援するか悩ましい。
○就職や結婚など重大な選択は誰でも決断するのは難しい。でも身近なことを意思決定するプロセスを積み重ねると、自己決定ができるのではないか。
○日本では「夢を諦めるな」という言葉があるが、壮年期になれば障害有無関係なく生活を送るために夢を犠牲にしている場合もある。「夢を諦めるな」だけでは無責任ではないだろうか。
○何事にもリベンジできる社会があって「夢を諦めるな」という言葉が本当の意味合いを持つ。
○小さい失敗体験をすると振り幅が広がる。失敗がすべてダメとは言い切れない。本人が取り返しのつかない失敗でなければ見守る場合もあるのではないか。

○フィギュアづくりをしたいケースは、支援者として止めたいという思いと、本当に天才なら能力を摘み取っていないかとの葛藤がある。
○障害者は健常者より職業選択の幅が狭い。仕事はお金をもらうだけではないし、職業選択できないのは社会の問題である。自分の人生が就労と結びつく社会をつくれば、ブラック企業は無くなっていくだろう。就労のあり方は大切。

(2)事例発表2　成年後見制度における意思決定支援
○後見人として悩むのは利用者の意思と客観的利益が一見対立し、本人の意思をそのまま実行すると後見人としての責任が問われる可能性もあるような場面である。支援方針も悩むことがある。
○ケース1では、本人は通帳を管理したいという希望は明確であった。ケース2では馬券購入などギャンブルをすることの意思表示はできる。
私の支援では、本人のこだわりや思いを尊重することに重点を置いている。
○なぜ本人が通帳管理をし続けられるのか。
→このケースでは預金額が比較的少額であったためリスクは低かったが、定期預金など多額の預貯金があるようなケースでは本人に通帳管理を任せるのはより難しいと思われる。ケース1の預金額では日々のやりくりをアフターフォローすれば何とかなるケースであった。
○通帳管理のこだわりにどう対応したか。後見人をどのように受け入れてくれたか。
→本人でないとできないことを代わりに弁護士が行う。本人が希望する細かいことを積み重ねていった。妻が弁護士に対して対立的対応をするのは、以前関係者とトラブルがあり信頼できなかったためであった。今は、妻を味方につけて支援をしている。
○後見人は中継役だが、意思決定は誰にでもできる。本人の意思決定を日頃から認め、日頃から本人との関係づくりが大切と考えさせられた。
○事例において本人が意思表示できる・できないことで支援の方針は変わるのか。
→この事例ではこだわりがある中でも意思表示できていたが、本人をよく知っている人が後見申立時に応急的に支援を始めて行くケースもある。各事例ごとに、様々な情報や本人が意思表示する中から、本人が大切にしているもの、生活歴等を知り本人の意思を判断するしかない。本人が意思表示できなかった場合、同じような支援方針となるかは判断しかねる。後見人は、それなりの説明を家庭裁判所にしなければならない。
○後見業務で意思決定を進める中で、共通するのが「パターナリズムを行使しない支援」であることが学べて良かった。
○サービス計画と後見業務がリンクするにはチームが欠かせない。ネットワークで支援できる中に民生委員など地域住民も入ることで、色々な立場から本人の意志を聞くことができる。チームとは、具体的には地域包括ケアシステムを指すのではないか。
○後見人がチームマネジメントを構築できないなら、ソーシャルワーカーやケアマネージャーが積極的にマネジメントする。誰が後見人に就くかは大きなポイントである。
○後見人は権限が大きすぎると思う。

(3) 次回以降の権利擁護専門部会についての意見交換
○次回以降の自立支援協議会では、区内で意思決定支援が十分でない実状を取り上げたい。
○区内で生活したくても、生活できない障害者にどう対応するのか、区の取組みを考察したい。
○この議題に適する事例はどのようなものがあるか。基幹相談支援センター等から事例を出していただくのはどうか。

以上